2009.05.19 Tuesday
南直哉の『老師と少年』(新潮社)を読んだ
南直哉の『老師と少年』(新潮社)は、仏教理解の糸口として、非常に優れた本である。
ファンタジーのような読みやすい文章の体裁を保ちながら、仏教の深奥に一気に導く力を秘めている。
私たちは、ある人が指さす先を見ることを忘れて、指そのものや、指さす人に目を留めてしまうことが多いのではないか。
南直哉の指さす先は、文章という指の魅力を湛えながらも、指に向かおうとするまなざしの慣性力を振り切って、ひたと焦点がぶれずにいる。
大人も子どもも読める深い書物として、多くの人に薦めたい。